白い林檎、硝子のスープ

読書・ゲームなどの感想を書いていくです

黒い家 貴志祐介

黒い家 (角川ホラー文庫)

黒い家 (角川ホラー文庫)


 怖い! 包丁持った人怖い!
 非常に怖いのだけれど、蘊蓄のバランスが悪い。後半になるに従い特にその傾向が顕著になっている。しかし怖い。変な要素を使わず、純粋な「人間」のホラーというのが特徴的なところ。後味も悪目だし、ホラーとしてはほとんど文句なし。もうすこしホラー要素がほしかったけれど、これくらい少ないほうがいいのかもしれない。
 基本的にホラーというと何かのギミックやら幽霊やらグロやらが満載だけれども、これは着実な下調べによるリアリティ(まあご都合主義的な要素が満載だがそれはしょうがない)と現実にあり得る人間関係、人間描写が非常に地味なのに怖いのだ。しかもこれを狂気と片づけてはいけないのではないか、というふうな問題提起を行っていたり。結構ホラーというだけで済ませられない良作だと思う。
 しかしこれをお勧めするかと言われれば正直微妙なわけで。面白いけど怖いよ!というのが面白そうだと思う人にはお勧め。