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白い林檎、硝子のスープ

読書・ゲームなどの感想を書いていくです

解放少女SIN ミニレビュー

 

解放少女 SIN (通常版)

解放少女 SIN (通常版)

 

<解放少女>

 美少女内閣もの、学園ものの皮を被った架空戦記的なガチの政治ものだと誰が考えただろうか。
 学園自体必要最小限、物語に必要な部分しか登場せず、あとはほんとに徹底して政治、謀略、戦争もの。あんまり宣伝にも出てこなかった捕虜がおそらく一番ヒロインしてるのは誰が予想できただろうかと。
 けどそれがいい。
 無駄に徹底的に設定された大統領制、戦時中の日本や、美少女閣僚などの設定の緻密さは読んでいて楽しいし、歴史の断絶があるからこその間違った日本観ネタはそこそこ出来がいい。丁寧なつくりはそれだけで素晴らしいと思います。
 それでいて史跡兵器の浪漫あふれる感じ、あれが素晴らしいですね。五稜郭とかスカイツリーとかが兵器になってるとか馬鹿にしてるけどバカに出来ないバカっぷりという。
 キャラクターは相当ぶっ飛んでるけれど、そのぶっ飛び方も、物語に必要が故のぶっ飛び方なので納得できる。ごく数名なんだこれってのはいるけれど、それだけは物語重視の弊害かなーと思う。

 あまりに売れてなくて勿体無いと思う。素材はいいし、文章もいい。ただただ売るには「地味」すぎるというだけで。中身は全く優等生色ない、とにかく詰め込みまくった怪作なのだけれど、それをしっかり優等生的に組み立ててしまったせいで、外見が一見一発ネタ以外優等生な作品に見えてしまったのが致命的なんでしょうねえ。

 

<展開ネタバレあり>

 

 

 章ごとの起承転結がしっかりしているのと、前の章での展開からは予想できない物語はなかなか。閣内容疑者→違った、今度は明らかに冤罪な容疑者→やっぱり違った、今回も無罪だろ→殺人犯、あぶり出し作戦→予想外のクーデター、ここまで内閣内が疑わしいとなると黒幕もそうなんじゃ→もっと意外な人物でした、ともう二転三転四転五転する。最初はちょっとやり過ぎと思ったけど途中から「こういうもの」と理解してからは凄く楽しめた。
 それでいてラスト、真の黒幕に関してはしっかり導出できるようになっている。この構成は「ぶっ飛んだ展開」を前提とした物語としては凄く出来がいい。ミステリーとしてはどちらかと言うと禁じ手に近いんだけど、それを使っただけあって納得いく推理が展開されるのはいい感じ。想像以上にしっかり組み立てられた物語で、二転三転すら狙ったものと思うと凄い。そして終盤はロボット物のお約束的なみんなの力で的要素もあり、見事だとおもう。
 ここ最近のノベルゲーでは全然方向性は違うけどシュタインズゲート的な伏線回収能力と、428的な怒涛の展開が組み合わさって、かつ題材が奇跡的に上手く噛み合ったほんとうに奇跡的な作品かもしれない。