白い林檎、硝子のスープ

読書・ゲームなどの感想を書いていくです

魔界探偵冥王星Oシリーズ再考1

 ちょうひさびさに更新。ちょっと前に第一部完!した魔界探偵冥王星Oのレビューを。

<ヴァイオリンのV 乙一

魔界探偵 冥王星O ヴァイオリンのV (講談社ノベルス)

魔界探偵 冥王星O ヴァイオリンのV (講談社ノベルス)


〜読了時感想〜
 冥王星Oの一つ目?二つ目?こっち後に読んだ方がいいのか?
 なんかとにかくジョジョっぽい。ていうかジョジョっぽい。なんかものすごくジョジョっぽい。ジョジョジョジョ
 設定やら何やらは非常に王道的。人間楽器などの描写がかなり上手い。ただ、それ以外の部分が致命的に微妙なために何とも言えない。 ノンストップに攻撃的な文章が続くので読んでいてかなり疲れる。あと序盤のぐだぐだっぷりも何とかしてほしい。一人称なので主人公が結構くどいのも問題。もろThe Bookっぽいんだよねそういうのは。そう思うと許せてしまう不思議。

〜〜
 今思えばこの話が一番グロいけど「らしい」作品と言えるのかも知れない。精神的なグロさはよくあったし、ジョジョっぽいのはホーマーのHのほうが相当。リーダビリティもなんだかんだ言ってあるし。遊びの入ってない舞城文体かなー。


<ウォーキングのW 入間人間

魔界探偵冥王星O―ウォーキングのW (電撃文庫)

魔界探偵冥王星O―ウォーキングのW (電撃文庫)


〜読了時感想〜
 普通に面白かったです。
 正直こっちは全く期待してなかったわけですよ。どうせ「ぼく」で電波だろうと。正直ここまでうまい具合に設定にはまってしまうとは思ってもいなかった。
 少年の方の話の独特さはまさに入間人間的。だけど嫌みのないいい感じに仕上がっている。正直びっくりした。ワルの性格の描写のうまさにみーまーの片鱗を感じたけれど、それ以外は上質の小学生もの。面白かった。
 トリックの方は構成的にそうだろうな、という方向になった、が、最後の真相まではわからなかった。構成はああなっていてミスリードもあるので結構うまいと思う。あとあの女の人の正体を明かさないのは読者の想像に任せる感じですごくいい(まあ恐らくあの人はあれなんだろう、というのはわかるけど、主人公もわかっていそうだけど)。トリックの詰めの甘さというか、一人称の都合のいいところをちょっと使ってしまったのが惜しまれる。切り抜きのとことか、あれは正直しょぼい。
 称賛しかしてない気がしてきたからけなそう。登場人物に全く感情移入できない。とくに「ぼく」の両親に関しては全く納得がいかない。いくら[ネタバレにつき伏]だとはいえあそこまでの殺意を抱くことは理解できないし、立ち位置も良くわからない。
 結構面白いので入間信者は読むといいかも。……これ入間とは思えないほどレベル高いんだけどほんとに入間なんだろうか、入間の顔をした違う作家なのかもしれない。そんな気がするくらい良かった。
〜〜

 結構読了時に面白かった記憶があるし、実際面白かったのだろう。読了時の感想以上のものは特にない。やっぱり入間人間らしい、けれども入間人間らしからぬ面白さだった。入間人間だからこれは売れたんだろう。これは。ここまでは。