白い林檎、硝子のスープ

読書・ゲームなどの感想を書いていくです

末広町35番地 一條裕子

 やっとこさ買えたので感想を。
 非常にシュール、なのは今も昔も変わらず。この作者の一番いいところ。だが、この話やたらと残酷だ。童話を基にした話だからか、やたらと残酷。しかも大人向けの残酷さがある。例えば、狼少年のお母さんは狼で、彼女は七匹の子山羊と母山羊に残酷な殺され方をする。狼少年に恋する少女の運動により山羊たちは立ち退きを迫られる。他にも鶴、雪女、天女と結婚しては離婚せざるをえなくなるおじさんの話とか、鬼退治に4階へ向かう一寸法師とか。シュールなんだかなんなんだか。
 こんなかなりの鬱展開かもしれないものを独特のシュールな笑いへと昇華することができるのはすごい才能だと思う。ただ、やはりこの作品はほんとに鬱展開が多めなので、笑いというよりおおー、という驚きの方が大きい。これは意外だった。この作者の作品はやはりなんかよくわからないんだけど最高なんですよ。

 評価:5 変わらぬ面白さに乾杯