ウォッチドッグス レビュー
ウォッチドッグス【CEROレーティング「Z」】初回限定特典(スペシャルコンテンツプロダクトコード+PS4版限定DLC同梱)&ウォッチドッグス アートブック付き
- 出版社/メーカー: ユービーアイ ソフト
- 発売日: 2014/06/26
- メディア: Video Game
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<個々の想像力に対するうウェイトが高いハッキングシステム>
このゲームの売りであるところの「ハッキング」は、どちらかというと一般的なゲームにおけるskill、perkとほぼ同じものと考えていい。もうすこし自在にできると楽しいのだろうけど、ゲームとして落としこむにはこれくらいで十分だろう。更にこれらはステルスアクションの要素が強いため、通常の箱庭以上に銃撃戦が少ない。もちろん、強行突破してハッキングを駆使しつつ銃撃戦を行うことも可能だが、このゲーム独自の要素をを堪能したいのならうまくステルスアクションを行うことをおすすめしたい。
それ以上に、道行く人の個人情報やメールログ、電話の傍受による「想像」が非常に重要になるゲームだということを、やっていて強く感じた。基本的にすべての人に何らかの情報・属性が付与されており、それらは物語にはほとんど関係がない。だがそこから想像できる人間関係は非常に面白い。ビルの陰でキスをしている恋人同士が何を隠しているか、年収の差は、年齢の差は、といったところから、普通に歩いている人が脅されていたり、ギャングの一員が最近息子が生まれていたりするところまで、楽しみ方が様々あり、個々に楽しみを見いだせるか否かが肝心となってくる。
<醍醐味としてのオンラインハッキング>
オン要素が非常に面白いのもいいところ。一般的なオンラインではなく、デモンズソウル、ダークソウルのような、ホストの世界に進入するタイプだが、そこでかくれんぼや監視を行うことになる。侵入された側はNPCに紛れたハッカーを範囲内で探しまわり、侵入した側は見つからないように隠れたり、逃げたり、ハッキングで視線誘導をしたりする。
隠れているスリルや、見つけるために走り回る面白さ、停電やら爆発やらを駆使して翻弄する楽しさは、単純な戦闘のみのオンラインより断然面白い。
ただこれらには基本戦略、セオリーのようなものがあったり、ジャミングが強すぎたりとアンバランスな部分が結構あるので、ずっと遊ぶには物足りない、がメインストーリーの合間に頻繁に侵入があるので場所から場所への移動の合間などに楽しむには十分で、飽きさせない。
<まあまあの物語の残念な結末>
復讐劇としては至って普通。黒幕もこの系統の物語なら驚きもないし、味方もどこか見たことのあるようなキャラクターばっかりではあるが、つまりは総じて受けの良いキャラクターである。
ただ復讐の起点となる「姪の死」から時間が経過しており、又主人公の動機が首尾一貫しすぎているためか、どうしても物語に起伏がない。基本的に敵の陣地に侵入して、ハッキングを駆使して何かをすることの繰り返しで、物語も誰かを脅すか、脅されるか、逃げるか、追いかけるかである。監視される街、という設定を活かしていくのかとおもいきや、主人公たちはほぼ万能で、ハッキングで自遊自在するために設定を付けたという印象である。一応ラストで監視社会に関する話が出てくるが、ありきたりな結末であり、とってつけた感は否めない。
ロケーション自体は多岐にわたり、廃ビル、工場やコンテナ、島や田舎町、スタジアム、バー、墓地、人身売買オークションなど様々な雰囲気を出している。ただそこでやることはほぼ同じなので、前述の通りそこにいる人々の個人属性をみて妄想したり、ハッキングして会話やメールを読むことが必要となる。
全体としてまさにUBIらしい、平均点な出来なのだが、終盤の展開が非常に雑である。これはプレイすれば確実に感じるだろうが、キャラクターの扱いが雑になり、結末に到達させるために強引に行動させた、という印象を強く持ってしまう用になっている。エンディング自体は、よくあるタイプの終わり方なのだけれど、そこにわざわざ持って行かなくても他に決着の付け方はあったのではないかと思わずにはいられない。
<箱庭ゲームとして>
過去の箱庭ゲーにGTASA以前と以後があるように、次世代機ゲームの箱庭は、どうしてもGTA5と比較されてしまう。Watch Dogsはハッキングのシステムとオンライン要素以外はほぼすべてGTA5には劣る。これは金のかけ方からして違うので仕方がない、とはいえもうすこしロケーションの美しさなどにもウォッチドッグスらしさが欲しかったように思う。
ハッキング、個人属性からの想像、カーチェイスやそのた細々したサブ要素は丁度メインストーリーをクリアするまでくらいで飽きる。この辺りのバランスは結構絶妙で、箱庭ゲーとしては問題かもしれないが、一つのゲームとしての出来はいいほうだろう。アサシンクリードから続くUBIゲーの安定感とも言える。
<総評として>
極めて出来がいい、というわけではないが、箱庭ゲーとしては及第点。卒のない作りではあるが、オンライン要素やハッキングによる妄想が楽しめないと、箱庭ゲーの悪い点である作業ゲーとなりかねないので、人を選ぶことは確実だろう。
グラフィックは初期トレーラーほどではないしインファマスほどではないが高品質なので、PS4で箱庭ゲーが遊びたいなら、バットマンやGTA5が出るまではこれ一択だろう。