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白い林檎、硝子のスープ

読書・ゲームなどの感想を書いていくです

ペルソナQクリア後レビュー

 

 

ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス

ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス

 

 

 

 

全体的なネタバレありです。細かい部分のネタバレは禁止されてるっぽいので。

1周目P3主人公リスキーで40時間、2周目P4主人公セーフティで15時間でクリア、裏ボスまですべてクリア済。
メインPTは1周目はP3主人公、アイギス、ゆかり、天田、直斗。2周目はP4主人公、P3主人公のみ固定で掛け合い重視で迷宮ごとにPTを変更。

 

〜シナリオ〜
<ペルソナお祭りゲーとしてよりも、単独の物語の出来が良い>
 どちらかというとお祭りゲーとしてよりも、新キャラの善と玲の物語として出来が良かったのが印象的。勘の良い人は恐らくこのゲーム全体のモチーフと第1迷宮クリアしたあたりでだいたい察しがつくとは思うが、ある意味こういう物語の王道を徹底しているので十分に楽しめる。更に細かい善と玲の心情が序盤から結構絡んで物語が進むので、2周目でもいろいろな発見があるという良さにもつながっていた。

ペルソナ3のファンとしては、「この時期」の彼らによる物語が憎い演出となっている>
 P3の雰囲気を一変させる要因である事件は起きておらず、けれど予兆だけはあるという状態の、一番安定した時期なので一番魅力的になっている。
 また、エンディングを知っている人から見ると来年の夏祭り、とか話しているとおうおうおうってなる。また善と玲の話についても、ペルソナ3の結末から見た立場のメタ的な選択肢があったりするので、ある意味意図的に作られているなと感じる。

ペルソナ4のファンとしては、どちらかというとノリが近くて>
 別の場所を舞台にした番長たちの物語という感じが強い。というかどちらかというとペルソナ4に寄せて作っているので違和感は全くないかと。

<キャラのデフォルメ具合はよくも悪くも>
 非常にキャラが多いので、キャラクターの性格自体をデフォルメして描いている部分が多い。長所としてはその御蔭で物語に入って行きやすいしわかりやすい話が多いのだけれど、短所のほうがとにかく目立つ。
 まずはっきりと、真田のプロテイン馬鹿特化のキャラクターは大失敗だといえるだろう。唯一ラストダンジョンでまともなセリフを言う以外ただの馬鹿になっていて非常に悪印象。ここまでじゃないだろ……と第1迷宮からはっきり感じるのですぐに諦められるのが救い。
 同時に荒垣も真田絡みか食事絡みばかりなのだけれど、様々なキャラに関わるので優遇されて入る。それより問題なのがこの二人が先輩役を投げ捨ててしまっているせいで、美鶴が基本的に「先輩役」の良い部分も悪い部分も全部背負い込まされている点である。後述するゆかりとの話もそうだが、全体的に他のキャラを立たせるために一方的に悪者的な立ち位置に置かれ、その上でそのキャラは美鶴と関係なく勝手にその悪い感情を捨てるので、ほとんど美鶴の内面に関して描かれることがない。完全に都合のいいおもちゃである。
 また、とくにダンジョン探索中、クマの三枚目的な役回りや、完二のホモネタ、ゆかりのキレ芸、玲の食べ物ネタなど同じネタを延々と繰り返し続ける傾向にあり、デフォルメ化が完全に裏目に出ている。
 とはいえそうでもしないと全キャラを均等に目立たせるのは難しかったかもとは思うので、仕方ないといえば仕方ない。

<個別イベントの多さ>
 各主人公ごとにイベントが半分近く異なるため、2周目も楽しめた、というか2周するのが前提だと感じた。ただP4主人公のほうがいくつかイベントが多く、気合の入れ方も違うように感じられた。コメディのほうが動かしやすいのか、どうかは知らないが、どうしてもペルソナ4のほうが3のキャラより絆が深いというふうに描かれており、そういう面が次項の致命的な欠陥につながっている。

<P3 sideの物語の不自然さ>
 それぞれの主人公で、サブイベントのなかでも中心的なものがそれぞれ存在する。
 P3主人公ではゆかりと美鶴の、仲間との関係についてりせが中心となって変えていく話、P4主人公では天田の抱える問題について完二が中心になって変えていく話である。どちらもP3の「文化祭の台風」のタイミングで存在する3つの仲間同士の関係のうちの2つについて、P4のキャラが起点となって関わることで変化が訪れる話だが、P3主人公側のシナリオの出来が非常に悪い。
 基本的にはペルソナQが全体としてテーマにしている「出会いや人との関わりによる変化」を具体的に表すような話なのだけれど、P3主人公側の物語は全て全く必要のない物語のように感じられるのだ。
 美鶴に対して複雑な思いを抱えつつ、それをぶつけようとしないゆかりに対してりせが余計なお世話をして、P3組が互いの本音を少しでもぶつけ合えるようになって終わるというもので、これだけ聞けば別に悪いものではない。ただ、その途中の話が、余計なお世話が悪い意味で余計なお世話だったり、P3側のキャラがその意見を受け入れるのが不自然すぎるのが問題だ。
 基本的にペルソナ4の仲間たちは自分の裏の部分まで仲間に知られているからこそ、ぶつかり合うことを知り、その大切さを学んでいる。それと同様にペルソナ3も、最終的に「死」という絶望に臨みながら、またぶつかり合いや仲間の死などを乗り越えて成長していく物語なわけで、そこに過程の違いはあれどそこまで異なるものではない。だがその「過程」こそが重要で、別の成長の仕方をした2つの仲間たちは、優劣をつけるようなものではないはずだ。
 そう考えるとペルソナ3で1年かけて学ぶことを、わざわざこのペルソナQを舞台に別の成長の仕方をしたペルソナ4のキャラクターに唆される形で強引に学ばせる意味は果たしてあるのかと考えてしまう。確かにペルソナ4側にしてみれば3の仲間たちはもどかしいだろう、いいたくなるだろう。けれどそれを実際に言ってしまうことは、確かに自然かもしれないが、結果的にペルソナ3の物語を全て否定したかのような形になっているのは、物語として破綻していると言わざるをえない。更にこの場合ペルソナ4側の成長は全肯定、
 そう、別にこの「ペルソナQ」でわざわざこの話を入れる必要は全くなくて、更にそれを「説教」「余計なお世話」のような形でイベント化する必要は全くなかった。更にそういうイベントにおいて4のキャラが上から目線で3のキャラを導く意味を感じない。ペルソナ3本編は遠回りだから無駄な成長だと言わんばかりに感じてしまう。
 更にりせをその役回りにしたのも鬱陶しく感じる。所謂恵まれたものの価値観の押し付けのように感じるのはペルソナ3側の問題がQではほぼ伏せられているからだろうか。またりせの考えというより外野の意見、という感じでりせである必然性が全くない上に、その割にやたらと感銘を受けるP3サイドに気持ちの悪さを感じる。
 しかも真田荒垣にまでいい影響を与えたかのような、さもいい話ですよ感が気持ち悪いというか、まあ個人的な印象だが。

 特に2周目でP4主人公側の天田と完二のイベントが出来が良かっただけに強く感じてしまった部分もある。こちらも問題を抱える天田に対し完二が語る場面があるのだけれど、りせと異なりペルソナQ内で示されている、あるいは語られる完二のキャラクターに合うような会話となっており、また「説教」というかたちでライターの考えが押し付けられているのではなく、完二が考え、言葉を紡いだように描かれているのでとても自然、またわざわざペルソナQ内で天田の問題を解決しようとせず、意識レベルでの変化にとどまっていることも、良い印象となっている。
 だからこそのP3主人公側の物語の気持ち悪さである。どうしてこうまで、と。

 

〜迷宮探索〜
マッピングの集大成>
 世界樹要素としてのダンジョンマッピング自体はとにかく使いやすくなっていて、あとはパレットをもうすこし彩り豊かにさえできればほぼ完成形ではないかと思うほど。とくに「抜け道」や「宝箱」の自動変化は素晴らしい発想だった。最初はえーと思ったし、探索関係なく置けばどこにどの方向の抜け道があるかわかってしまうという欠点はあるのだけれど、未通過の抜け道がしっかりわかるのでとくにhageた後の再探索で真価を発揮する(はず。というのも今回のPQではほとんどhageなかったからだが)。双方向矢印自体は残っており、使わなくていいという選択肢をしっかりおいておいてくれる配慮も嬉しい。

<最高レベルの雰囲気ダンジョン>
 第3迷宮お化け屋敷は文句なしに最高の雰囲気だった。恐らくSQ4の第6迷宮に味をしめたんだろうけど、驚かせようという意気込みを強く感じた。迷宮の構造自体もおそらく一番バランスが良く、後述するバトルのバランスについても、一番まともだったように感じる。一手遅れると全滅しうる危ないスキル持ちも多く、手持ちスキルもバランスブレイカーがまだ少なめでハマムド系もblockする敵が出てくる。
 このダンジョンに関しては、ほぼ文句の付け所がない。強いて言うならあまりにホラー過ぎてここで挫折する人が多そうなのと、あまりにキャラが驚きすぎ、ナビが仕掛けを警告しすぎで準備ができてしまうことくらいか。

foe前提の迷宮のコレジャナイ感>
 問題は迷宮の構造。今回の迷宮は詰め将棋的、パズル的な要素が強すぎるように感じた。特に第3迷宮以降、基本的にfoeはイベント発生を除いて障害物、アトラクションとしてしか機能していない。あそこのギミックを動かしてあそこの抜け道を通ってあそこのギミックを使う、というふうにルートが完全に固定化されており、そのための道の封鎖のためにfoeを創りました、という感覚が強い。
 完全に正解ルートが決まっており、foeの避け方もほぼ1択、失敗したらやり直し、乱入なんか殆ど無いとなると、foeの醍醐味であるちょっと戦ってみて全滅する、とか戦うにげるを繰り返してfoeを動かしていくとかが出来ず、その割にfoeで殺意満載ではなかったり、ただ硬いだけだったりと、foeを全くうまく使えてないと感じる。
 これをリスキー=foe逃走不可という意味不明の設定が助長しており、ただ無駄に硬いだけの敵にミスって当たってジリ貧で死亡というのが序盤多くてほんとやってられなかった。途中からドロン玉を手に入れたので楽にはなったが、スタコラフット前提とか特定スキルが前提となる探索は選択の幅を狭めるダメなタイプだと思う。
 また、行き止まりでイベントを発生させることを重視しすぎて行き止まりが多すぎるのは気になった。とりあえずイベントが途切れないように一定間隔ごとに行き止まりを作るようになっているようで、それも迷宮の単調さ、つまらなさを助長しているように感じた。

<踏めない床がある>
 マッパー的に致命的なのが、イベントが発生するせいで存在するのに踏むことの出来ない空間が存在すること。1箇所のみなのだけれど、だからこそ相当な不満。あとP4主人公じゃないと進むことが出来ない場所もある。これもかなりのマイナス点、だけれどこれは2周すればよい話なのでそこまで不満ではない。

 

〜バトルシステム〜
<基本的には簡単>
 世界樹のスキルツリーを排除し、グリモアを昇華させたサブペルソナシステムで幅を出すようなつくりになっており、キャラごとの個性は控えめ。進度に従って適度にペルソナ合体を繰り返していけば適当なパーティーでもだいたいなんとかなる難易度で、初心者には適度なバランスだろう。
 しかしその結果としてどんな場面でも基本的に非常に簡単。リスキーでも前半はfoe事故遭遇、後半は即死系魔法連発による即死くらいでしか死亡しなかった。例外的に中盤の属性弱点付与→全体属性魔法の連発は初見殺しだったが。
 とはいえ世界樹タイプの攻略法を知っていて、行動順や状態異常・縛りが重要であるということを理解していないと、とくにボス戦は厳しい戦いを強いられると思う。

世界樹とペルソナの悪い点が融合>
 バランス自体は悪くないんだと思う。BOOSTもシステム上弱い技を使って強い技をノーコストで使うなどやり方はある。ただ、最終的に中盤〜終盤にかけて物理の圧倒的有利や状態異常の使い勝手の良さが際立ってくる。
 とくに世界樹で採用されている、一度状態異常になるとそれに対して耐性がつくというシステムをなくしてしまったせいで、状態異常や縛りを連発して倒すことができる。
 また、状態異常時に極端に効果が高くなる技が多いなどのアンバランスさが強くなっている。
 また、新世界樹からの流れでHPが多く敵が硬い=強いという仕様に、ほとんどの雑魚に即死魔法が効果的ということと、即死を反射するタイプの敵がいないことで、雑魚戦では即死魔法が猛威をふるう。ふるい過ぎて中盤以降はマハムドオンとマハンマオンの連発である。
 更にサブペルソナのHPSP付与も、雑魚戦を何度もこなせる利点はあれど、だからこそ即死魔法を連発できるようになり、更にボス戦ではその利点が活かされず結局物理スキル優位、アイテムゲーと化す。
 要するに全体的にバランスが極端で、更に互いの悪い部分を補い合う形で非常につまらない戦闘となっている。

 

〜UI、快適性、その他〜
世界樹の迷宮で培われた部分を投げ捨てる>
 ペルソナ寄りのUI自体はそこまで辛くなく、セーブも世界樹と比べれば楽な方。けれど致命的な部分はバトル、探索などの「遅さ」を強く感じる。特にSQ4,新世界樹で培われたはずの高速戦闘は消滅し、迷宮内の移動はデフォルトをダッシュにできなくなった。これらが完全に「プレイ時間の水増し」となっているので、発売前のプレイ時間100時間とかいう吹かしもあながち間違いとはいえないだろう。ていうか多分世界樹形式だったら30時間くらいでクリア出来ているはずだ。

<店の仕様変更>
 これはペルソナから入ったユーザーにはありがたいだろうが、素材数が一定以上に達し、一度開発してしまえばいくつでもアイテムを購入可能。ありがたいと同時に物足りなさを感じる。というかこれのせいでどちらかというとアイテムゲーとなっている印象を受ける。

<改造ができない>
 素材は余ってしまうのだから、武器の改造くらいしてもいいと思うのだけれど、完全に消滅している。スキルツリーも然り、やりこみ系の要素はすべてサブペルソナにまとめて後は簡略化したらしいが、いくらなんでもあってもいいんじゃないかという部分まで削除してしまうのはどうかと思う。


〜総評〜
 とはいえお祭りゲーとして軽く遊ぶにはSAFETYは文句なしにヌルゲーだったし、バトルを重視しないならストーリー自体はサブイベント一つ除けば高品質に仕上がっている。ペルソナ3ペルソナ4のキャラの掛け合いも想像以上にはならないものの想像していた通りのものにはなっているので、ペルソナのファンならまあ買いだと思う。
 逆に世界樹のファンと言うだけなら買う意味は殆ど無いかと。迷宮がいまいちだし裏もないし、なによりイベント重視でテンポが非常に悪いのでペルソナに愛着を持っていなければ耐えられないと思う。ペルソナ未プレイでも楽しめると謳ってはいるが1割くらいしか楽しめないだろう。
 音楽はP4Gほどの出来ではなかったけどかなり良かった。古代さんの曲がとくに。