白い林檎、硝子のスープ

読書・ゲームなどの感想を書いていくです

『シュガーダーク』とか。

 とりあえずはてなダイアリーを久々に更新してみる。文体とか、忘れてしまった。

シュガーダーク  埋められた闇と少女 (角川スニーカー文庫)

シュガーダーク 埋められた闇と少女 (角川スニーカー文庫)


 スニーカー大賞の6年ぶりの受賞作ということで、とりあえず買ってみた。買ってみて、読んでみた。読んでみたはいいけどなかなか感想が言いづらいです。
 とりあえずかなり面白かったです。正直序盤から中盤のはじめ辺りまでは微妙かな……と思ってたんですが、いつの間にか物語の中に引き込まれてしまった。それもこれも多分このかなり癖のある文体のおかげかと。はじめのほうはこの文体がクドいように感じたんだけど途中から物語との違和感が何故かよくわからないけど唐突に消えて、凄かった。きっと多分上手いんだろうなーこの文章。
 話の流れは凄くつかみやすいんですよね。登場人物も少ないし、あらすじを見ると中二病的なんだけど実際はそんなことなくて。凄く純愛で。それでいてライトノベル的要素を余すことなく入れている。ルビとかヒロインのああいうシーンとか心理描写、流血系描写とか。これはライトノベルとしてはかなり面白い部類に入ると思う。そしてライトノベルである、という以外に言いようがない。まさにライトノベルの一つの完成形(あーさすがにそれは言い過ぎかもしれない)、と言えるほど典型的な要素を入れつつ独自の色を出しきっている。
 そう、ラノベらしからぬやたら暗い雰囲気の割に中二病じゃないまじめな雰囲気なんだけど、設定も動きも意外にラノベらしい。ヒロインはかわいいし敵は強い。主人公もカッコイイし、カラスはいい三枚目。もう詰め込むべき要素はギャグ以外全部詰め込んだんじゃないかと。ああ、まあ特にバトルはないかな、淡々と進む感じ。バトルもギャグもこの作品には今のところ必要ないと思うからいいと思った。
 物語の流れも主人公の思考も、そしてラストまでほとんど先が読めるというか典型的。初々しいながらすごくいい純愛と陰鬱な墓地。そこに少しずつ謎をちりばめて、独特の文体で読み進めさせる。堅実な作りといえばそう。でもそれを面白く魅せることのできる作者は少ない。この作者はその数少ないうちの一人かもしれない。

 ただこれって、どうなんだろう。万人受けするのかな? ハルヒ以来の、ということで推したいのはわかるんだけどそんなに万人受けするタイプの作品じゃない気がする。ていうか読みにくいって人は多いと思う。とくに序盤。やっぱりくどい気がする。もうすごく致命的な弱点だと思います個人的には。終盤が素晴らしいだけにそこが惜しまれる。やっぱり万人受けはしないでしょこれは。大賞、ということで期待しすぎるときついかも。普通にかなり面白いけど期待わくわくで読んで期待通りか、といわれると微妙だと思う。
 雰囲気小説、ってライトノベルでは不可能に近い。雰囲気小説的なんだよねパラパラっとめくった感じが。だからそれで敬遠されるかもしれない。実際はすごくラノベなのに。ああ、そういう敬遠しそうな読者を離さないためのプッシュなのかも? 違うか。
 2巻でるらしいけどどうなるか期待。正直、この1巻で完結してるんで、書けないあるいは1巻より劣化したりするなら書かない方がいいかも。でも2巻を読んでみたいという気持ちはある。実際面白かったし。

 で、とりあえずカラス萌えですかね。カラスいいよカラス。挿絵のカラス素敵すぎる。もうなんか、いい。