白い林檎、硝子のスープ

読書・ゲームなどの感想を書いていくです

チグリスとユーフラテス 新井素子

<あらすじ>

 遠い未来。地球の人々は他の惑星への移民を始めた。その九番目の惑星「ナイン」に向かう移民船に搭乗したのは、船長キャプテン・リュウイチ、その妻レイディ・アカリを含む30余名の選りすぐりのクルーたち。人々は無事ナインに定着し、人工子宮・凍結受精卵の使用により最盛期には人口120万人を擁するナイン社会を作り上げる。だが、やがて何らかの要因で生殖能力を欠く者が増加しだし、人口が減少しはじめ、ついに恐れられていた「最後の子供ルナ」が生まれてしまう。たった一人、取り残されたルナは、怪我や病気のために「コールドスリープ」についていた人間を、順番に起こし始める。最後の子供になると知りながら、母親は何故自分を生んだのかを知るために。また、ナインの創始者でもあるアカリに惑星の末路を知らしめるために。ルナと四人の女たちで語られる、惑星ナインの逆さ年代記。

<感想・評価>

 面白かった。久々に一気に読んでしまった。まず設定が面白く、しっかりと背景を描いた上で、最後のあの会話にすすむ。非常にスムーズな流れで、面白い。
 信仰と社会の関係のくだりはかなり納得できるもの。ありきたりともいえるが。
 とても面白い作品。SFとはいえ、別に固くないので、読むべきだと思う。
 ただ、あの独特の文体は合わない人には合わないだろう。また、話の流れは明らかすぎるくらい単純明快なので、そういう話の構成の巧みさを求めているのならこの作品は違うだろう。また、最後の章が少し冗長すぎる感じもした。

 評価:4