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白い林檎、硝子のスープ

読書・ゲームなどの感想を書いていくです

七番目の仮説 ポール・アルテ

<あらすじ>

 ペストだ! その一言に、下宿屋の老夫婦は戦慄した。病に苦しむ下宿人の青年を囲んでいるのは、中世風の異様な衣裳に身を包んだ三人の医師。担架で患者を搬出すべく一行が狭い廊下に入ったとたん、肝心の患者が煙のように担架の上から消え失せた! 数刻後、巡回中の巡査が、またしても異様な姿の人物に遭遇する。言われるままに、路地に置かれたゴミ缶の蓋を取ると、そこにはなんと……だが奇怪きわまる一夜の事件も、実はさらなる怪事件の序章に過ぎなかったのだ。それはさすがのツイスト博士も苦汁を舐めさせられる難事件中の難事件だった

<感想・評価>

 帯では人体消失、死体移動などをポイントであるかのように書いてあるが、別にそうではない。むしろその裏、そのトリックが全体としてどういう意味を持つのかを考えるような話。

 シリーズもので、それまでの話を知らないからキャラの背景とかはよくわからないが、とにかく王道。古典で言うとすごくカーっぽかった。

 個人的に面白いと思ったのは第2部の会話の掛け合い。テンポのいい、推理の応酬。二人の賢さ、即興力を感じさせる。そういう場面での人物描写は非常に巧み。

 トリックに関して。さまざまなギミックが組み合わさることで一つの大きなトリックになっているのは評価できるところ。たとえば人体消失のトリックは露骨に前半にヒントが出てて、すぐわかってしまう。けれど、それが最終的にどういう結論になるのかがなかなか見えてこない。そういう面ではかなり面白い。

 が、全体的には、少し物足りない。トリックは確かにうまいが、心理的要因や偶然の要素が大きすぎて、ピースがうまくはまるような感覚がない。どうしてもなるほど!というほどにはなっていない感じ。

 また、後半明らかに失速している。前半の流れがかなりテンポ良いだけに、後半の失速は悔やまれる。

 ラストが後味悪すぎるのもどうかと思う。正直あのラストは余計。におわせておく程度で終わらせればいいのに。


 評価:3(まあ、読んで損はないと思いますが……)