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白い林檎、硝子のスープ

読書・ゲームなどの感想を書いていくです

狂犬は眠らない ジェイムズ・グレイディ

「古い車って素敵ね」「そうね、でも古い亭主もついてるのよ」

<あらすじ>

 スパイとして働きすぎて頭がいかれた5人組・・秘密の精神科病院に収容された元CIAのメンバーらは、各々ハンデを抱えていた。ラッセルは音楽を口ずさまずにいられない、ゼインは暑さに全く耐えられない、ヘイリーは常に悲観的、エリックは誰の命令にも服従してしまう、ヴィクは時々フリーズする。そんな彼らが病院で起きた医師殺しの真犯人を見つけるべく脱走を決行! 薬がきれて暴走する前に真相に辿りつけるのか?

<感想・評価>

 ミステリーというより軽快なサスペンスというべきか。登場人物が全員狂ってるという設定だが、そこまで狂ってるようには見えない、というか、別に狂ってない。狂ってる自分を楽しんでるけど、別に狂ってはいない。

 おそらくこの作品は狂いっぷりを楽しむのではなく、その陽気なやりとりとか、ベタなスパイ物への皮肉を楽しむべきものだと思う。正直最後の方は流し読みになってしまったが、それでも普通に内容が理解できるあたりは残念。冗長すぎてもう真相とかどうでもよくなる。心底どうでもよくなる。

 むしろ合間合間に挟まれる「なぜ狂ったか」の話の方が面白い。服従することこそ解放される最善の方法というのはなかなか興味深い。そのあたりの話を小出しにするところは、読者を飽きさせないためであろうが、飽きさせないようにしている、ということがよくわかりすぎて少し興ざめではある。

 ラスト。殺人事件の真相よりむしろあの人とあの人が!という驚きの方が大きい。流し読みだったのでわからなかったのだろうか?伏線はあったのだろうか。心底どうでもいいが。

 全員狂っているという設定は面白いのだから、もう少しそれを活かしてほしかった。作者としてはこういう作品が書きたかったのだろうが、それならもう少しわかりやすい設定にすべきだったのではないだろうか。

 評価3(ミステリーではないだろう)