超次元アクション ネプテューヌU レビュー
パッチ前にクリアしたやつです。今のは知らぬです。
<紛うことなきネプ無双>
とにかく草を刈ることと、ねぷねぷをアクションさせるということに特化したねぷU。草刈りとしてはいくつか欠点はあるものの、非常に良質です。
ほんとにすごい勢いで刈れる(999コンボすぐできる)上に、コンパイルハート特有の軽いSEや手応えのなさが妙に癖になるふわふわ感。
そしてさすがは閃乱カグラのタムソフトなだけあって、衣装破壊の出来は堅実ですし、なによりアクションが素晴らしい。それまでのネプ本編でRPGとして登場した技を、自由自在に扱うことができるのはとても爽快感があります。一方で技が強力すぎて対人には向いていないゲームではあるのですがそこはご愛嬌。
<想像以上に出来はいい>
予想していた以上に草刈りの快感に特化していて楽しいです。リリィランクにうまく絡められている交代システムもいい感じですし、草刈りがめんどくさくなり始める頃に次の技が登場したり、だいたい全キャラ慣れてきた頃にストーリーが終了したりするのが、結構良く考えられたバランスになっています。
やりこみ要素も「敵メダル集め」「リリィランク」「スペクトラルタワーネプ版」と多彩で、しかも結構ボイス差分多いです。ぶっちゃけそんなにやり込む気は起きないのですが、やり込むとなった時にそんなに壁を感じないのはすばらだと思います。
<ビューモード>
攻撃中でもなんでも、一時停止してアングル変えて撮影ができるモードです。これは本当に画期的で、多分閃乱カグラEVにも実装されると思いますが、とにかく楽しいです。かっこいいスキルを自分の思った通りのアングルで撮影、もう最高ですね。
最初の頃はパンチラパンチラ、とやってたんですが途中からかっこいいアングルかっこいいアングルっていうふうに変化していきました。楽しい。
<ストーリー?知ったこっちゃない>
ゲームとしての欠点はストーリーの薄さ。とはいえねぷねぷにストーリーを期待してなどいないので、そう考えると全く問題無いといえるでしょう。
薄さに目をつむってしまえば、初登場のデンゲキコちゃんとファミ通ちゃんを上手く絡めつつ、ゲーム業界的時事ネタもある程度絡めた普通に楽しめる可もなく不可もない妥当な話。とはいえほとんど何も事件が起こるわけでもなく、クエスト進行の合間にストーリーがちょっとあるという程度ですので、そっちに楽しさを感じる人にはちょっときついかも。
反して女神や女神候補生の掛け合いはいつもどおりで面白く、更に今回リリィランクによって会話が発生するのであまりふたりきりでの会話のなかったキャラ同士が話しているのを聞けるのは凄く面白いです。自分たちでもあんまり会話したことないとかいってたりして。ちょっとキャラがぶれてる部分もあってそれ自体を作中でネタにされたりもするのですがんなこたどうでもいいんだよ!という。可愛いは正義です。
あ、確かシリーズ皆勤賞だったマジェコンヌおばさんが登場しないです。そのかわりよくわからない新ボスがいます。VIIへの布石なのかなぁ。
<欠点は>
どちらかというとストーリーより爽快草刈りが重要なので、ストーリーの弱さよりも無双ゲーとして見た時に現れる欠点のほうが致命的です。
無双ゲーとしての欠点は「草が寄ってこないこと」と「草のリポップ条件が草を刈ることであるということ」の連携です。マ◯リオの土管パロの某敵キャラなどが、やたら広範囲に湧く割に、全く動かない(むしろ逃げる)ので、まずいちいち敵を倒しに動かなくてはならない。その上倒さないとリポップしない、リポップが何回もする。
要するに
寄ってくる草を刈り続ける
→寄ってくるタイプの草のリポップが終わる
→寄ってこないタイプをちまちまと刈る
→リポップ上限に届いてないのでリポップ
→刈る→リポップ→刈る→リポップ→→→上限に届くまでリポップ
→めんどくさい
となることが、特に中盤〜後半で起こります。辛いです。
これにクリア後ダンジョンの気怠げな仕様が組み合わさると、本当に飽きます。飽きました。
あとオートセーブではないのにC2エラーがまあまあの確率で起こるのはキツイです(クリアまでに2回、クリア後2回起きました)。これはパッチで直ってるのかな。セーブがワンボタンなのはいいんですがそれならもうオートセーブにして欲しかった……。
また、いつものことなのですが、基本的にバランス崩壊気味のアクセサリつければボス系以外は全部余裕になります。欠点といえば欠点、草刈りとしてはいいんじゃないでしょうか。
<クリア後ダンジョン>
3モードあって
・ストーリーモードの追加ソロミッション
・トーナメントモード
・スペクトラルタワーモード
です。
ソロミッションはそんなに辛くないのですが、残りの2つが色々と残念です。
<トーナメント>
とにかくゲームバランスがおかしいです。基本的に敵にスキルを当てれば一発で倒せますし、スキルを当てられると一発で死にます。アクセサリ色々すれば違うのかもしれないですが、少なくともストーリークリア用アクセサリではこうなります。
ただ、操作キャラごとにセリフがしっかり設定されているので、全部聞こうとすると果てしないです。作業です。私には無理でした。
<スペクトラルタワー!>
全50Fですが、ネプトラルタワーを全キャラで登るモードです。リリィランク上げに使える上に、特に序盤は連携必殺技4発で終わるので非常に楽です。
そこまではいいんですが、前述の動かない敵キャラが本当にうざい。連携必殺技の巻き込み範囲外に結構いるのでそれをいちいち使ってかないといけないのです。
あと全キャラまんべんなくリリィランク上げながらクリアを目指すとなると冗談抜きで怠いです。C2エラーもまあまああるしね。私には無理でした。スペクトラルタワーよりは圧倒的に楽なんだろうけど。
<ネプを気軽に楽しみたいなら一番>
VITAで出てるねぷでは一番手軽ですし、ビューモードなる画期的なモードでかなり長く楽しめるはずです。
とはいえアクションとしてはふつーなので、ねぷねぷ好きじゃなければリバース1をプレイすることをおすすめします。
ウォッチドッグス レビュー
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<個々の想像力に対するうウェイトが高いハッキングシステム>
このゲームの売りであるところの「ハッキング」は、どちらかというと一般的なゲームにおけるskill、perkとほぼ同じものと考えていい。もうすこし自在にできると楽しいのだろうけど、ゲームとして落としこむにはこれくらいで十分だろう。更にこれらはステルスアクションの要素が強いため、通常の箱庭以上に銃撃戦が少ない。もちろん、強行突破してハッキングを駆使しつつ銃撃戦を行うことも可能だが、このゲーム独自の要素をを堪能したいのならうまくステルスアクションを行うことをおすすめしたい。
それ以上に、道行く人の個人情報やメールログ、電話の傍受による「想像」が非常に重要になるゲームだということを、やっていて強く感じた。基本的にすべての人に何らかの情報・属性が付与されており、それらは物語にはほとんど関係がない。だがそこから想像できる人間関係は非常に面白い。ビルの陰でキスをしている恋人同士が何を隠しているか、年収の差は、年齢の差は、といったところから、普通に歩いている人が脅されていたり、ギャングの一員が最近息子が生まれていたりするところまで、楽しみ方が様々あり、個々に楽しみを見いだせるか否かが肝心となってくる。
<醍醐味としてのオンラインハッキング>
オン要素が非常に面白いのもいいところ。一般的なオンラインではなく、デモンズソウル、ダークソウルのような、ホストの世界に進入するタイプだが、そこでかくれんぼや監視を行うことになる。侵入された側はNPCに紛れたハッカーを範囲内で探しまわり、侵入した側は見つからないように隠れたり、逃げたり、ハッキングで視線誘導をしたりする。
隠れているスリルや、見つけるために走り回る面白さ、停電やら爆発やらを駆使して翻弄する楽しさは、単純な戦闘のみのオンラインより断然面白い。
ただこれらには基本戦略、セオリーのようなものがあったり、ジャミングが強すぎたりとアンバランスな部分が結構あるので、ずっと遊ぶには物足りない、がメインストーリーの合間に頻繁に侵入があるので場所から場所への移動の合間などに楽しむには十分で、飽きさせない。
<まあまあの物語の残念な結末>
復讐劇としては至って普通。黒幕もこの系統の物語なら驚きもないし、味方もどこか見たことのあるようなキャラクターばっかりではあるが、つまりは総じて受けの良いキャラクターである。
ただ復讐の起点となる「姪の死」から時間が経過しており、又主人公の動機が首尾一貫しすぎているためか、どうしても物語に起伏がない。基本的に敵の陣地に侵入して、ハッキングを駆使して何かをすることの繰り返しで、物語も誰かを脅すか、脅されるか、逃げるか、追いかけるかである。監視される街、という設定を活かしていくのかとおもいきや、主人公たちはほぼ万能で、ハッキングで自遊自在するために設定を付けたという印象である。一応ラストで監視社会に関する話が出てくるが、ありきたりな結末であり、とってつけた感は否めない。
ロケーション自体は多岐にわたり、廃ビル、工場やコンテナ、島や田舎町、スタジアム、バー、墓地、人身売買オークションなど様々な雰囲気を出している。ただそこでやることはほぼ同じなので、前述の通りそこにいる人々の個人属性をみて妄想したり、ハッキングして会話やメールを読むことが必要となる。
全体としてまさにUBIらしい、平均点な出来なのだが、終盤の展開が非常に雑である。これはプレイすれば確実に感じるだろうが、キャラクターの扱いが雑になり、結末に到達させるために強引に行動させた、という印象を強く持ってしまう用になっている。エンディング自体は、よくあるタイプの終わり方なのだけれど、そこにわざわざ持って行かなくても他に決着の付け方はあったのではないかと思わずにはいられない。
<箱庭ゲームとして>
過去の箱庭ゲーにGTASA以前と以後があるように、次世代機ゲームの箱庭は、どうしてもGTA5と比較されてしまう。Watch Dogsはハッキングのシステムとオンライン要素以外はほぼすべてGTA5には劣る。これは金のかけ方からして違うので仕方がない、とはいえもうすこしロケーションの美しさなどにもウォッチドッグスらしさが欲しかったように思う。
ハッキング、個人属性からの想像、カーチェイスやそのた細々したサブ要素は丁度メインストーリーをクリアするまでくらいで飽きる。この辺りのバランスは結構絶妙で、箱庭ゲーとしては問題かもしれないが、一つのゲームとしての出来はいいほうだろう。アサシンクリードから続くUBIゲーの安定感とも言える。
<総評として>
極めて出来がいい、というわけではないが、箱庭ゲーとしては及第点。卒のない作りではあるが、オンライン要素やハッキングによる妄想が楽しめないと、箱庭ゲーの悪い点である作業ゲーとなりかねないので、人を選ぶことは確実だろう。
グラフィックは初期トレーラーほどではないしインファマスほどではないが高品質なので、PS4で箱庭ゲーが遊びたいなら、バットマンやGTA5が出るまではこれ一択だろう。
htoL#NiQクリア後感想
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〜総評〜
ジャンルとしてはLIMBOやEscape Plan、dokuroなどの死にゲー。謎の少女ミオンちゃんを誘導するホタルを誘導して外へと脱出しよう的な。
雰囲気ゲーという印象を序盤から一蹴してくれる超絶難易度の死にゲーです。dokuro終盤ステージレベルが序盤から出てくる。はっきり言って合う合わないあるかと。
とはいえミオンちゃんがかわいいのでそれに価値を見出だせるなら有りかと。ただ3000円ではなく1000円台ならもっと売れたと思う。
〜シナリオ〜
<徹底した雰囲気ゲー、考察のしがい有り>
圧倒的に説明が足りないが、完全に意図的で、断片的に語られた記憶の欠片や作中の背景、ボスなどから一体ミオンちゃんに何があったのかを細かく考察していくには良い素材。
おそらくこうだろう、という大筋はだいたい示されるけれど、結局ミオンちゃんに何があったのかということ、そして実際のゲーム中で何が起こっているのかはいまいちはっきりしない。その辺りを考察したり妄想したりできると楽しいが、はっきり説明がほしいならやめておいたほうがいい。
〜難しい死にゲーということ〜
<誘導の誘導という高度なテクニックを前提とした難易度>
死にゲーである所以はミオンちゃんを操作するのではなくミオンちゃんを誘導するホタルを操作する、でもなくミオンちゃんを誘導するホタルを誘導するからで、それを前提にしてミスを誘発するような作りになっている。
2,3箇所技術ではどうにも出来ない部分や、こういうのを求めているんじゃないんだよ……と思う部分はあるものの、総じてどのギミックも攻略法を探す→死にまくる→慣れによって攻略できるようになるというプレイヤースキルの向上を体感できるつくりになっており、しかもどのギミックも使い回しが殆ど無く、毎回新鮮な気持ちで挑戦できる。使い回しが無いからこそのボリューム不足感はあるけれど、ここまでの高難易度ならこれくらいのボリュームのほうが挫折しなくて良いと思う。
<電撃イライラ棒>
こういうのを求めているんじゃないんだよ、という一つ目。ミオンちゃんではなくホタルを誘導してイライラ棒をする。イライラ棒。電撃。
特に酷いのはこのギミックのみ2回出てくることだ。1回めで辛かった思い出は、2回めで吹き飛ぶことになる。
やたら高難易度のイライラ棒エリアを抜けた先に初見殺しギミックが待ち構えており、そこで死ぬとイライラ棒をやり直すハメになる。完全に製作者側の悪意が透けて見え、イライラを通り越して怒りを感じる。
攻略法的なことを言うと、ホタルはタッチした場所に向かって動くので、ホタルが見えるようにちょっと外側をタッチして微調整するといい。というかそれ出来ないと無理。
<ステージ4ボス>
技術ではどうにも出来ない部分。そしてこういうのを求めているんじゃないんだよという2つ目。動体視力とスタートボタン連打を駆使して攻略するわけだが、本当に運ゲーでどうしようもない。ミオンちゃんを操作して避けたり、動かしたりするボスを求めているわけで。こういうの求めてない。
<ステージXボス>
これはどちらかというといい印象のステージ。色々操作することによって、新しい操作方法や使い道を学んでいき、どんどんスキルが向上しクリアできるようになるいい例。
ペルソナQクリア後レビュー
全体的なネタバレありです。細かい部分のネタバレは禁止されてるっぽいので。
1周目P3主人公リスキーで40時間、2周目P4主人公セーフティで15時間でクリア、裏ボスまですべてクリア済。
メインPTは1周目はP3主人公、アイギス、ゆかり、天田、直斗。2周目はP4主人公、P3主人公のみ固定で掛け合い重視で迷宮ごとにPTを変更。
〜シナリオ〜
<ペルソナお祭りゲーとしてよりも、単独の物語の出来が良い>
どちらかというとお祭りゲーとしてよりも、新キャラの善と玲の物語として出来が良かったのが印象的。勘の良い人は恐らくこのゲーム全体のモチーフと第1迷宮クリアしたあたりでだいたい察しがつくとは思うが、ある意味こういう物語の王道を徹底しているので十分に楽しめる。更に細かい善と玲の心情が序盤から結構絡んで物語が進むので、2周目でもいろいろな発見があるという良さにもつながっていた。
<ペルソナ3のファンとしては、「この時期」の彼らによる物語が憎い演出となっている>
P3の雰囲気を一変させる要因である事件は起きておらず、けれど予兆だけはあるという状態の、一番安定した時期なので一番魅力的になっている。
また、エンディングを知っている人から見ると来年の夏祭り、とか話しているとおうおうおうってなる。また善と玲の話についても、ペルソナ3の結末から見た立場のメタ的な選択肢があったりするので、ある意味意図的に作られているなと感じる。
<ペルソナ4のファンとしては、どちらかというとノリが近くて>
別の場所を舞台にした番長たちの物語という感じが強い。というかどちらかというとペルソナ4に寄せて作っているので違和感は全くないかと。
<キャラのデフォルメ具合はよくも悪くも>
非常にキャラが多いので、キャラクターの性格自体をデフォルメして描いている部分が多い。長所としてはその御蔭で物語に入って行きやすいしわかりやすい話が多いのだけれど、短所のほうがとにかく目立つ。
まずはっきりと、真田のプロテイン馬鹿特化のキャラクターは大失敗だといえるだろう。唯一ラストダンジョンでまともなセリフを言う以外ただの馬鹿になっていて非常に悪印象。ここまでじゃないだろ……と第1迷宮からはっきり感じるのですぐに諦められるのが救い。
同時に荒垣も真田絡みか食事絡みばかりなのだけれど、様々なキャラに関わるので優遇されて入る。それより問題なのがこの二人が先輩役を投げ捨ててしまっているせいで、美鶴が基本的に「先輩役」の良い部分も悪い部分も全部背負い込まされている点である。後述するゆかりとの話もそうだが、全体的に他のキャラを立たせるために一方的に悪者的な立ち位置に置かれ、その上でそのキャラは美鶴と関係なく勝手にその悪い感情を捨てるので、ほとんど美鶴の内面に関して描かれることがない。完全に都合のいいおもちゃである。
また、とくにダンジョン探索中、クマの三枚目的な役回りや、完二のホモネタ、ゆかりのキレ芸、玲の食べ物ネタなど同じネタを延々と繰り返し続ける傾向にあり、デフォルメ化が完全に裏目に出ている。
とはいえそうでもしないと全キャラを均等に目立たせるのは難しかったかもとは思うので、仕方ないといえば仕方ない。
<個別イベントの多さ>
各主人公ごとにイベントが半分近く異なるため、2周目も楽しめた、というか2周するのが前提だと感じた。ただP4主人公のほうがいくつかイベントが多く、気合の入れ方も違うように感じられた。コメディのほうが動かしやすいのか、どうかは知らないが、どうしてもペルソナ4のほうが3のキャラより絆が深いというふうに描かれており、そういう面が次項の致命的な欠陥につながっている。
<P3 sideの物語の不自然さ>
それぞれの主人公で、サブイベントのなかでも中心的なものがそれぞれ存在する。
P3主人公ではゆかりと美鶴の、仲間との関係についてりせが中心となって変えていく話、P4主人公では天田の抱える問題について完二が中心になって変えていく話である。どちらもP3の「文化祭の台風」のタイミングで存在する3つの仲間同士の関係のうちの2つについて、P4のキャラが起点となって関わることで変化が訪れる話だが、P3主人公側のシナリオの出来が非常に悪い。
基本的にはペルソナQが全体としてテーマにしている「出会いや人との関わりによる変化」を具体的に表すような話なのだけれど、P3主人公側の物語は全て全く必要のない物語のように感じられるのだ。
美鶴に対して複雑な思いを抱えつつ、それをぶつけようとしないゆかりに対してりせが余計なお世話をして、P3組が互いの本音を少しでもぶつけ合えるようになって終わるというもので、これだけ聞けば別に悪いものではない。ただ、その途中の話が、余計なお世話が悪い意味で余計なお世話だったり、P3側のキャラがその意見を受け入れるのが不自然すぎるのが問題だ。
基本的にペルソナ4の仲間たちは自分の裏の部分まで仲間に知られているからこそ、ぶつかり合うことを知り、その大切さを学んでいる。それと同様にペルソナ3も、最終的に「死」という絶望に臨みながら、またぶつかり合いや仲間の死などを乗り越えて成長していく物語なわけで、そこに過程の違いはあれどそこまで異なるものではない。だがその「過程」こそが重要で、別の成長の仕方をした2つの仲間たちは、優劣をつけるようなものではないはずだ。
そう考えるとペルソナ3で1年かけて学ぶことを、わざわざこのペルソナQを舞台に別の成長の仕方をしたペルソナ4のキャラクターに唆される形で強引に学ばせる意味は果たしてあるのかと考えてしまう。確かにペルソナ4側にしてみれば3の仲間たちはもどかしいだろう、いいたくなるだろう。けれどそれを実際に言ってしまうことは、確かに自然かもしれないが、結果的にペルソナ3の物語を全て否定したかのような形になっているのは、物語として破綻していると言わざるをえない。更にこの場合ペルソナ4側の成長は全肯定、
そう、別にこの「ペルソナQ」でわざわざこの話を入れる必要は全くなくて、更にそれを「説教」「余計なお世話」のような形でイベント化する必要は全くなかった。更にそういうイベントにおいて4のキャラが上から目線で3のキャラを導く意味を感じない。ペルソナ3本編は遠回りだから無駄な成長だと言わんばかりに感じてしまう。
更にりせをその役回りにしたのも鬱陶しく感じる。所謂恵まれたものの価値観の押し付けのように感じるのはペルソナ3側の問題がQではほぼ伏せられているからだろうか。またりせの考えというより外野の意見、という感じでりせである必然性が全くない上に、その割にやたらと感銘を受けるP3サイドに気持ちの悪さを感じる。
しかも真田荒垣にまでいい影響を与えたかのような、さもいい話ですよ感が気持ち悪いというか、まあ個人的な印象だが。
特に2周目でP4主人公側の天田と完二のイベントが出来が良かっただけに強く感じてしまった部分もある。こちらも問題を抱える天田に対し完二が語る場面があるのだけれど、りせと異なりペルソナQ内で示されている、あるいは語られる完二のキャラクターに合うような会話となっており、また「説教」というかたちでライターの考えが押し付けられているのではなく、完二が考え、言葉を紡いだように描かれているのでとても自然、またわざわざペルソナQ内で天田の問題を解決しようとせず、意識レベルでの変化にとどまっていることも、良い印象となっている。
だからこそのP3主人公側の物語の気持ち悪さである。どうしてこうまで、と。
〜迷宮探索〜
<マッピングの集大成>
世界樹要素としてのダンジョンマッピング自体はとにかく使いやすくなっていて、あとはパレットをもうすこし彩り豊かにさえできればほぼ完成形ではないかと思うほど。とくに「抜け道」や「宝箱」の自動変化は素晴らしい発想だった。最初はえーと思ったし、探索関係なく置けばどこにどの方向の抜け道があるかわかってしまうという欠点はあるのだけれど、未通過の抜け道がしっかりわかるのでとくにhageた後の再探索で真価を発揮する(はず。というのも今回のPQではほとんどhageなかったからだが)。双方向矢印自体は残っており、使わなくていいという選択肢をしっかりおいておいてくれる配慮も嬉しい。
<最高レベルの雰囲気ダンジョン>
第3迷宮お化け屋敷は文句なしに最高の雰囲気だった。恐らくSQ4の第6迷宮に味をしめたんだろうけど、驚かせようという意気込みを強く感じた。迷宮の構造自体もおそらく一番バランスが良く、後述するバトルのバランスについても、一番まともだったように感じる。一手遅れると全滅しうる危ないスキル持ちも多く、手持ちスキルもバランスブレイカーがまだ少なめでハマムド系もblockする敵が出てくる。
このダンジョンに関しては、ほぼ文句の付け所がない。強いて言うならあまりにホラー過ぎてここで挫折する人が多そうなのと、あまりにキャラが驚きすぎ、ナビが仕掛けを警告しすぎで準備ができてしまうことくらいか。
<foe前提の迷宮のコレジャナイ感>
問題は迷宮の構造。今回の迷宮は詰め将棋的、パズル的な要素が強すぎるように感じた。特に第3迷宮以降、基本的にfoeはイベント発生を除いて障害物、アトラクションとしてしか機能していない。あそこのギミックを動かしてあそこの抜け道を通ってあそこのギミックを使う、というふうにルートが完全に固定化されており、そのための道の封鎖のためにfoeを創りました、という感覚が強い。
完全に正解ルートが決まっており、foeの避け方もほぼ1択、失敗したらやり直し、乱入なんか殆ど無いとなると、foeの醍醐味であるちょっと戦ってみて全滅する、とか戦うにげるを繰り返してfoeを動かしていくとかが出来ず、その割にfoeで殺意満載ではなかったり、ただ硬いだけだったりと、foeを全くうまく使えてないと感じる。
これをリスキー=foe逃走不可という意味不明の設定が助長しており、ただ無駄に硬いだけの敵にミスって当たってジリ貧で死亡というのが序盤多くてほんとやってられなかった。途中からドロン玉を手に入れたので楽にはなったが、スタコラフット前提とか特定スキルが前提となる探索は選択の幅を狭めるダメなタイプだと思う。
また、行き止まりでイベントを発生させることを重視しすぎて行き止まりが多すぎるのは気になった。とりあえずイベントが途切れないように一定間隔ごとに行き止まりを作るようになっているようで、それも迷宮の単調さ、つまらなさを助長しているように感じた。
<踏めない床がある>
マッパー的に致命的なのが、イベントが発生するせいで存在するのに踏むことの出来ない空間が存在すること。1箇所のみなのだけれど、だからこそ相当な不満。あとP4主人公じゃないと進むことが出来ない場所もある。これもかなりのマイナス点、だけれどこれは2周すればよい話なのでそこまで不満ではない。
〜バトルシステム〜
<基本的には簡単>
世界樹のスキルツリーを排除し、グリモアを昇華させたサブペルソナシステムで幅を出すようなつくりになっており、キャラごとの個性は控えめ。進度に従って適度にペルソナ合体を繰り返していけば適当なパーティーでもだいたいなんとかなる難易度で、初心者には適度なバランスだろう。
しかしその結果としてどんな場面でも基本的に非常に簡単。リスキーでも前半はfoe事故遭遇、後半は即死系魔法連発による即死くらいでしか死亡しなかった。例外的に中盤の属性弱点付与→全体属性魔法の連発は初見殺しだったが。
とはいえ世界樹タイプの攻略法を知っていて、行動順や状態異常・縛りが重要であるということを理解していないと、とくにボス戦は厳しい戦いを強いられると思う。
<世界樹とペルソナの悪い点が融合>
バランス自体は悪くないんだと思う。BOOSTもシステム上弱い技を使って強い技をノーコストで使うなどやり方はある。ただ、最終的に中盤〜終盤にかけて物理の圧倒的有利や状態異常の使い勝手の良さが際立ってくる。
とくに世界樹で採用されている、一度状態異常になるとそれに対して耐性がつくというシステムをなくしてしまったせいで、状態異常や縛りを連発して倒すことができる。
また、状態異常時に極端に効果が高くなる技が多いなどのアンバランスさが強くなっている。
また、新世界樹からの流れでHPが多く敵が硬い=強いという仕様に、ほとんどの雑魚に即死魔法が効果的ということと、即死を反射するタイプの敵がいないことで、雑魚戦では即死魔法が猛威をふるう。ふるい過ぎて中盤以降はマハムドオンとマハンマオンの連発である。
更にサブペルソナのHPSP付与も、雑魚戦を何度もこなせる利点はあれど、だからこそ即死魔法を連発できるようになり、更にボス戦ではその利点が活かされず結局物理スキル優位、アイテムゲーと化す。
要するに全体的にバランスが極端で、更に互いの悪い部分を補い合う形で非常につまらない戦闘となっている。
〜UI、快適性、その他〜
<世界樹の迷宮で培われた部分を投げ捨てる>
ペルソナ寄りのUI自体はそこまで辛くなく、セーブも世界樹と比べれば楽な方。けれど致命的な部分はバトル、探索などの「遅さ」を強く感じる。特にSQ4,新世界樹で培われたはずの高速戦闘は消滅し、迷宮内の移動はデフォルトをダッシュにできなくなった。これらが完全に「プレイ時間の水増し」となっているので、発売前のプレイ時間100時間とかいう吹かしもあながち間違いとはいえないだろう。ていうか多分世界樹形式だったら30時間くらいでクリア出来ているはずだ。
<店の仕様変更>
これはペルソナから入ったユーザーにはありがたいだろうが、素材数が一定以上に達し、一度開発してしまえばいくつでもアイテムを購入可能。ありがたいと同時に物足りなさを感じる。というかこれのせいでどちらかというとアイテムゲーとなっている印象を受ける。
<改造ができない>
素材は余ってしまうのだから、武器の改造くらいしてもいいと思うのだけれど、完全に消滅している。スキルツリーも然り、やりこみ系の要素はすべてサブペルソナにまとめて後は簡略化したらしいが、いくらなんでもあってもいいんじゃないかという部分まで削除してしまうのはどうかと思う。
〜総評〜
とはいえお祭りゲーとして軽く遊ぶにはSAFETYは文句なしにヌルゲーだったし、バトルを重視しないならストーリー自体はサブイベント一つ除けば高品質に仕上がっている。ペルソナ3とペルソナ4のキャラの掛け合いも想像以上にはならないものの想像していた通りのものにはなっているので、ペルソナのファンならまあ買いだと思う。
逆に世界樹のファンと言うだけなら買う意味は殆ど無いかと。迷宮がいまいちだし裏もないし、なによりイベント重視でテンポが非常に悪いのでペルソナに愛着を持っていなければ耐えられないと思う。ペルソナ未プレイでも楽しめると謳ってはいるが1割くらいしか楽しめないだろう。
音楽はP4Gほどの出来ではなかったけどかなり良かった。古代さんの曲がとくに。
アルノサージュ5時間トライアル感想
〜差し障りの無い範囲の感想〜
<ボリューム>
内容以外の部分。5時間ガッツリ本筋だけを追ったというのにphase1終了までに5時間近くかかったのでボリュームはかなりある。禊会話とかジェノメトリクスとかちゃんとやると1章だけで普通に10時間以上かかるかと。調合イベントも結構ありそう(ただ話しかけるだけでイベント発生×3とかざらにある)だし、ボリューム面では全く心配なし。
<バトル>
バトルはノーマルだとかなり簡単だと思う。ボス戦は戦い方をミスってちょい苦戦したけどそれも戦い方がわかってくれば全く苦労しないし。雑魚はボタン連打でもほとんど相手のターンに回さず倒せる。
防御は相手の攻撃が何種類かあるのでどれが来るかを判断してダメージ判定時にガードするようにする、どちらかと言うと格ゲー的なもの。というか完全にアルトネリコ2。
まあ、アルトネリコ2の正統進化型という感じです。あれよりもう少しわかりやすい気がする。
<全体として>
期待通りの作品っぽいです。今のところは期待以上だったし。ただシェルノサージュかアルトネリコ、どっちかやってないと、設定厨的なノリについていけなくなる可能性があるかなぁとは思う。どっちもやってなくてもなんとかなるけど序盤意表を突かれすぎて流されていく感じがする。デルタが記憶喪失なのでそっち側に感情移入できるといえばそうですが。というか恐らくデルタはそのために作ったキャラだと思います。
とにかくアルトネリコ3に望んでいたことはこれだ、というのが節々に見られるので凄く楽しいです。シェルノサージュやってるとまじでワクワクします。ロードも少ないしバグもなさそうだし。
〜以下ネタバレにつき注意〜
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月極蘭子のいちばん長い日 感想
概要:須田ゲーカオス系が悪い意味で炸裂
<短い>
とにかく短い。1時間強でクリア可能。結構何度もプレイできるゲームとはいえ、GUILD01の解放少女より短いってのはどうなんだこれ。
ステージ数自体は10程度あるし、それぞれのステージは、何ルートかある面白い仕組みになってるので楽しめるんだけど、いかんせん一つ一つに力入れすぎ。
<物語がカオス>
もう少し何らかの筋道が立ってるのかと思っていたんだけれど、想像以上に超展開というか、超展開と言われて思いつくもの全て詰め込んだ上にそれらの脈絡がない。
とにかく「こういうシーンが作りたい」を20個位くっつけたものとしか思えない。killer7の1ステージ1ステージが2分くらいで凝縮されてくっついてる感じ。
<ゲームとしての出来はまあまあ>
直感的に飛んだり跳ねたり攻撃したりするアクションは結構楽しい。うまく進むと上へ、失敗すると下へルートが分岐したりするのも面白い。敵に追いつかれたら即死なのでとにかく進み続けるしか無いゲーム性自体は結構面白いし、敵を攻撃するとエフェクトが広がって他の敵も倒せるってのもコンボの快感につながっていい感じ。
ただいかんせん短いだけに満足感が持続しないのと、ストーリーとのバランスが悪すぎる。前半にまとめてゲーム部分を消化しすぎてる。
また、要所要所の中ボスは須田ゲーらしい独自仕様になっていてイライラします。チェックポイントとか無いので、4回位死なないとそもそも攻略が難しい。あと面倒。とにかく面倒。
<悪くはないけど、良くする気はなかったのだろう>
全体としてみると、短編映画の一つとしてはまあ悪くない程度に出来は普通。けどこれは良くしようと思えばいくらでもよく出来る題材だったはず。そういう題材をぶち壊したかったのかなぁと思ったり。
<映画のほう>
なかなか良かった。特に『九十九』と『武器よさらば』は統一感があって純粋にシンプルで楽しめた。
2013年のゲームをふりかえる
〜1月〜
<ファンタシースターオンライン2(vita) Cβテスト>
ぶっちゃけCBTで満足しすぎて飽きたっていうのはある。否定出来ない。レベル上げたりするのが地味に楽しい。
〜2月〜
これやったのこんな最近か。MMOをやった今となってはそうとは思えないが、オンラインゲームのオフラインでの具現化、と思ってプレイしてたな。シナリオはぐっだぐだであんまり良かったとはいえないけど、地道に材料手に入れて料理作ったりするのは楽しかった。
<限界凸騎モンスターモンピース>
新作のこすってつまんでパンツを穿かせるRPGには期待してるけどあれどちらかと言うとアガレスト戦記なんだよなぁ。これの要素も少し入れておいてくれると嬉しいけど無いだろうなぁ。
案外丁寧に作られたカードゲームで、コンパイルハートのゲームでは一番システム的な出来はいいかもしれない。素直に脱がせるだけでは弱体化するカードがあったりして。オンラインが微妙すぎて直ぐに人離れちゃったみたいだけど、出来は良かった。シナリオは糞。
ラスボスがギャグだけどよく考えたらメタルウルフカオス的だな。
いつものプラチナゲー。ガワだけメタルギア。でもガワがましなだけまともになってる。それ以上でも以下でもない。
<デモンゲイズ>
口コミで始めたけど予想以上におもしろかったDRPG。世界樹の迷宮より大味なんだけどいろんな組み合わせが楽しめたり、ダンジョンギミックがおもしろかったりで、凄くびっくりした。
まあとはいえ今となっては迷宮クロスブラッドと比較してあまりギミックが多くなかったり、レアドロップの仕様が悪かったりするのはもったいないなぁと思う。でも文句なしに面白い。UIもかなり便利になってるしね。
〜3月〜
<閃乱カグラSV>
脱衣アクション。想像以上に素晴らしい変態ゲーで、対戦要素もあるのが特に良かった。パンツを集める要素が必要だったかしらんけど。全裸はやり過ぎや。
<AKIBA'S TRIP PLUS>
2をやったあとだとやっぱりこのゲームは良ゲーだったんだと感じる。シナリオが凄く良かった。2は手抜きすぎ。
<God of War :Ascension>
スケール感が微妙になった感じがある。三部作で完結したのだから、わざわざこれを作る必要はなかったと思う。オンラインはなかなか面白かった。
ハーツRは文句なしに面白いと思うんですがねー。どうもいまいち売れなかった感じが。売れなかったというかイノセンスRの出来がイマイチだったというか。
もともとの2Dのときのアクションが好きだっただけに、3Dはあまりすきじゃないんだけれど、それでも出来自体はすごく良かったし、おもしろかった。物語も結構しっかり作られてたし。イノセンスRではかなり出張ってきた割にメインシナリオでは空気だったりよくわからない状態だったトライバースキャラ、今回はうまく扱えてたと思う。もうちょっと達観してないキャラだと良かったんだけど、そもそも今回のPTは幼いしなぁ。
〜4月〜
ものすごくペルソナっぽいUIで敬遠してたけど全然違った。物語自体が凄くシンプルで、キャラで持たせるゲームだったけど、ここでの基盤があったからこそのCCCだと思うと良作。聖杯戦争アレンジもし易いんだなぁとか。
これ以降はブクログから